むし歯
むし歯
むし歯菌が口腔内の糖分を代謝し、排出する酸によって歯が溶けてしまう現象を「むし歯」といいます。歯の外層(エナメル質)の小さなむし歯は唾液中の重炭酸によって再石灰化し、ある程度再生することもありますが、それよりも深く浸食してしまうと元には戻りません。定期的な歯科受診で早期に発見し、むし歯が進行する前に手を打ってしまいましょう。
むし歯は進行具合によってステージ分けされています。
CO、C1
再石灰化することにより、進行性が止まることを期待できます。主な治療法は歯面清掃やフッ化物塗布を行い、経過を観ていきます。生活習慣を変えることで病状改善が見込めるので、状態を見ながら患者さんにアドバイスをしていきます。
C2
むし歯が象牙質まで進行したケースです。この時点で再石灰化は期待できないので、むし歯を取り除き、人工物で欠損を埋めます。大きさや場所によって直接プラスチックを流し込むやり方か、型取りをして詰め物を入れる方法に分かれます。広い範囲のむし歯はかぶせものを入れることもあります。修復物の選択で予後が変わってきますので、詳しくはこちらもご覧ください。
C3
むし歯が神経まで到達したケースです。多くの場合では神経は自己治癒できないため、むし歯と一緒に神経も取ります。根の内部を消毒して薬を詰めた後、土台を立ててかぶせものを作っていきます。治療完了までの工程が長いので、来院回数は平均6回くらいになってしまいます。根の治療のことや、かぶせものの種類はこちらを参考にしてください。
C4
このステージでは歯冠(歯ぐきから見える歯の頭の部分)が完全に崩壊しており、歯根のみが残った状態です。歯茎や骨の下までむし歯が進行した症例では修復が非常に困難で、抜歯が選択されることが多くなります。来院が早ければ抜歯を免れる可能性も増えます。もしこのような歯が多数あっても、もう手遅れだとあきらめないで、ご相談ください。
歯の神経を残す治療法は間接覆髄と直接覆髄の2通りに分かれます。
歯の神経(歯髄)はすべての刺激を「痛み」として認識し、冷温痛(冷たい・熱いときの痛み)、擦過痛(歯ブラシなどで触った時の痛み)、咬合痛(上下の歯が噛んだ時に感じる痛み)の感じ方は同じです。これらの刺激を感じることにより歯髄は炎症を起こし、一定のハードル(閾値)を超えてしまうと不可逆性(自己治癒できない)の炎症が起きてしまいます。
むし歯を完全に除去することにより歯髄を守るバリアーが薄くなり、数か月経過してから歯髄がこの炎症を起こしてしまうことがあれば、むし歯を除去している時点で歯髄が露出してしまうこともあります。このようなケースでは歯髄を取る処置(根管治療)が必要となりますが、特別な薬剤を使うことにより歯髄を温存できることもあります。
歯髄を取るために歯を削る量が多くなるうえに、歯髄を除去することの歯の寿命に関する影響も過去の論文で取り上げられています。統計学的なデータも様々で、すべてが同じ結論を示しているわけではないですが、当院の方針としては歯髄を取るための切削量(歯を削ること)はその歯の予後を大きく左右すると考えております。必要最低限な医学的介入を実施するために、歯の切削は最低限に抑えたいところであります。
歯髄は非常に繊細な組織であるため適応症例は限られてきますが、選択肢の一つとしてご検討ください。
間接覆髄 | 20,000円 |
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直接覆髄 | 30,000円 |
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